「ぼくの色、見つけた!」という本をご存知でしょうか。
2025年、第71回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(小学校高学年の部)に選定された今年の夏、もっとも小学生に読まれているであろう本の1冊です。
色覚用のレンズをお求め頂いた小学生のお客様に教えて頂きました。即断即行動の長瀬、二日後には手元に。
内容は色覚障がいを持った男の子のお話です。この本良かったよ、と店長に伝えると『色覚障がいを持ってない、知らない人が読んで、理解が深まる感じですか?』と聞かれる。
『多分だけど、色で困ったことがない人がソコを共感できるかって言うと単純に難しいと思いますよ。俺も視力が良すぎるからド近眼の方の気持ちは100%理解は出来てないだろうし。そもそも題材が題材だけに色覚障がい当事者目線でしか読めないスよ』
ということで色盲目線の読書感想文です。
今回本書に従い、「色覚障がい」という言葉ですすめます。
主人公の小学生、信太朗くん。家庭菜園でミニトマトを収穫する話から物語は走り始めます。
緑から黄緑、オレンジそして赤。熟度によって変わっていくトマトの色。本当に偶然、3日前に息子が植えたミニトマトを夏休み中の学校に、一緒に収穫しに行ったんですが。長瀬も本当にコレが見えなかった。『パパもちゃんと取ってよ!』と怒られる始末。信太朗、モヤモヤしたよな!分かるぞ!
その後も焼肉、アイスの色、アスパラとウインナー、色鉛筆。見えるもの、見えないもの、「コレどう見えてるの?」のオンパレード。
母親も半ば確信があるだけに、認めたくなくて眼科に行き渋っていたのだろう。過保護な親が毒親気味に闇落ちしそうな瞬間もある。
『かわいそうな信ちゃん』
この一言にまた傷つく信太朗。母の心中も察するが漏れてしまった言うべきではない一言。治療できない、小学生で理解が追いつかない。2人とも苦しい思いをする。
この本の前半は長瀬が44年かけてようやく咀嚼できた色覚障がいあるある、モヤモヤを複数回提示される。焼肉で困ったことがない長瀬も何だかつらい気持ちになったりする。
眼科検診でアノマロスコープまできっちり測定『I型2色覚』の診断。俗に言う『色盲』。色覚障がいを持った人の75%がII型。しかも2色覚となると結構なレアケース。色覚障がい者100人集めても10人いるかどうか。ゆくゆくこのレアケースが運命の出会いとともにいい方向に転がります。
その後も色鉛筆の塗り方についてクラスの嫌な奴にからかわれたり、黒板の赤チョークが見えにくかったり。勉強も図工も全部にやる気がなくなっていく信太朗。
運命の出会いは5年生に上がってから。一つは平林先生。子どもには理解されにくいが理解力のあるかっこいい先生。弱みを隠さずさらけ出し、努力してそれを乗り越える、ソレをみんなの前で実践する。苦手をそのままにしない、を大人が見せてくれる。努力してもいいし、向き合って受け入れてもいい。子供に分かりやすい、子供目線で教えてくれる。
そしてもう一つの出会い、ゴッホの『星月夜』。
ゴッホも色覚特性だったかもしれない、という親近感もあったのか信太朗はゴッホに惹かれていく。
そして『I型2色覚』ならではの見え方に利点が見つかった瞬間平林先生からの『特殊能力ですね』という一言。小5男子が言われて嬉しいトップの言葉やーん。信太朗の優越感ハンパないだろうな〜!長瀬ももう1回平林先生と小5からやり直したい!森永先生ごめん!(長瀬の小5小6の担任)
長瀬も言われたことがあるが『視点が違う』。色覚障がいにより自分の色認識を全く信用していないので目で見た情報を『色』以外で判断する。明暗、質感、動き、ツヤ感などを使って他人と共通認識を作っていく。色覚障がいは観察眼が育ちやすいのかも知れない。
ラストは疾走感と爽快感のある結末に。信太朗の両親の過去や信太朗の生い立ちなど一気に判明していく。
父親と見た虹は7色に見えなかったし、今もそう見えてはいないけど、ソレが自分の虹なんだと消化できたところで話は終わった。
冒頭で書いたように色覚障がいの理解が深まるか、というとそうではないと思うが知るきっかけとしてはライトに入りやすい、面白い題材だと思いました。
ただ長瀬のように色覚障がい目線で読んだ時に信太朗良かったね!という気持ちと同じくらい、信太朗の置かれている環境の『運の良さ』にフィクションだしな〜と思ってしまうネガティブな感情、妬みに近いものを感じずにはいられない。
次に色覚障がい用のレンズを取扱う身として気になったのが以下3点。
ちょっとネタバレ風味です。
小5に上がった始業式の日、桜の花びら、の表現があったが『あ、ソコは広げないんだ』と感じた。薄いピンクも見えにくいのが色覚障がいなのでそのくだりはスルーしたんだな、と。まぁあっても無くても良いかもしれませんが。
薬草博士として何度も登場する母方のじいちゃん 。遺伝を考えるとこの人も信太朗と同じ『I型2色覚』のハズ。それなのにそのくだりは一切出てこない。信太朗に「○○を治す薬草」について聞かれた時、「心の持ち様なんだよ」と答えるじいちゃん。これはもしかして色覚障がいに対しても言っているのか。
そして一番感動したのは平林先生が押してくれるハンコ。宿題を提出し、先生にハンコを押してもらうシーン。見ましたと押されたハンコの色を信太朗は「夏の空の色」と感じます。もうこの時点でこの色はこの色とリンクさせる、という観察眼が発揮され始めているのと同時に。先生は信太朗が何色か分からない赤色を使わず、色覚障がいでもぱっと見で分かる青色のハンコを使っている。平林先生、かっこよすぎる。このくだりを
それは夏の空の色みたいな色だった。
たったこの一文で表してるのが色覚障がいを扱う人間として、ものすごくうおおおおおお!とテンションが上がった瞬間。
ということでとりとめもない読書感想文でございました。
皆さんもぜひ読んでみて下さい。電子書籍もあるようなので是非。
一応アマゾン貼っておきます。短縮URLです。
ぼくの色、見つけた! 志津 栄子 https://00m.in/qkhpn
その上で長瀬が思ったのは!
色の表記の部分をぜんぶマーカーでその色に塗ったものを読みたい。自分で買った本を蛍光ペンいっぱい買って塗っても良いんですけど、長瀬は正しい色で塗れない。なので誰かにやって欲しい!
また長瀬は色覚特性を持った経験から色への興味が薄い。文章に集中すると色の表現を読み飛ばしてしまう。講談社さん、特装版出しましょうよ。
特装カラー版『ぼくの色見つけた!』どうですか。お願いします。
ということで違う視点の色覚のお話でした。
長瀬でした!
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[ 色覚特性 ] 2025-08-10
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